納入事例
浄土真宗本願寺派(お西)金仏壇32号 御修復
ご納入ご安置の様子
姫路檀 板内3尺2寸
お仏壇寸法:高186cm 下台幅111.5cm
下台奥84cm 戸丈172cm
<ご修復仕様>
正面天然本漆手塗り、縁付本金箔1号色
彫刻人物極彩色仕上げ
飾金具消しメッキ、一部新調
下段、うす引き蒔絵入り
極入念仕上げ
<お仏具>
供笥、上卓塗り直し金箔仕上げ
五具足宣徳色付け直し
菊輪灯磨き直しフッ素加工
新調仏具あり
ご本尊及びお脇懸 表具直し
代々お祀りされてきたご本尊、お脇懸を表具直しさせていただきました。
専門職人により、本紙を取り出して廻りの寸法調整の上、表装をし直しました。蓮華柄上金襴、宗紋入り、へり折り本仕立て、彫金具付。
またお裏書には願主のご法名が記されておりましたので、表具の裏にお戻ししました。
修復前
ご修復前のお仏壇(お預かり時)
ご修復前の電装設備は100Vでしたが、この度LED3Vにて新調しました。
菊輪灯の配線が下へ垂れていましたので、本体の裏側を這わせて上に上げました。また金灯籠を新調し、ローソク灯は外させていただきました。手元スイッチを設けました。表具直し前のご本尊、お脇懸(お預かり時)
スタッフボイス
浄土真宗本願寺派(お西)金仏壇32号 御修復
お家のリフォームに合わせてお仏壇をご修復させていただきました。
昔からお仏壇のお修理のことを「おせんたく」と申します。綺麗にするという意味でこう呼ばれていると思います。私どもは「おせんたく」は総塗り替え修復と考えています。他のお修理の方法には、部分修理と、弊社では承っておりませんが、洗いのみ(液体を使っての汚れの洗浄)があります。
「おせんたく」は欄間や扉、段廻りも全て解体し、金具の鋲を抜いて一旦元の部品の状態に戻します。木地の反りや割れ、虫食いを点検して、傷んでいる箇所は木地を新調します。これを木地直しと呼んでいます。よくお見受けするのは、障子の木地の反りや段廻りの割れです。
次に塗りの工程ですが、表面を本漆(天然漆)またはカシュー塗料(合成漆、代用漆)で仕上げますが、その前に下地の工程があり、これがとても大切です。木には木目や導管など凹凸があります。摺り漆仕上げや透き漆仕上げの場合は、欅などの木目を生かして仕上げますが、黒塗りの場合は、下地により表面を滑らかに整えてから重ね塗りで美しい艶とむっくりした塗面を出します。
金箔押しは、高価な本金箔を用います。なかでも縁付金箔は、金箔を作る工程で長年かけて漉いた和紙で打っていくので金箔の表面に不純物が付きません。独特の和紙の打ち目があり、重厚な艶があります。また純金粉を使う手法もあります。金箔と比べて艶を抑えたマットな仕上りが特徴です。欄間などの彫刻部分には、鳥や人物、植物などに彩色を施す場合もあります。金彩色と極彩色の工法があります。
蒔絵は、姫路檀であれば主に下段、中敷、うす引きに蒔絵師が花や鳥、御所車、扇面、山水などの絵を本金粉や貝を用いて、描いていきます。お仏壇が豪華に引き立ちます。
錺金具は一旦全ての鋲を抜いて外します。割れなどの痛みがないかを点検します。動かす金具は傷んでいることもあります。点検後は洗いの上、金メッキまたは消メッキを施します。
上記のような工程を経て仕上がった部品を組み上げていくのが最終工程となります。錺金具を鋲打ちした後に、金箔などを傷めないように慎重に仕立てていきます。姫路檀、大阪壇には外側の脇に脇綱がついているものが多くありますので、組んだ後に脇綱を結びます。このようにお仏壇おせんたくを仕上げます。
仕上がったお仏壇にご本尊様をお掛けします。高さを調整して真っすぐに見えるように上部でお留めします。
その後お仏具を設置していきます。吊るお仏具として、輪灯や灯籠、瓔珞がありますので、吊り元金具を設置します。お仏壇の天井の構造やお仏具の大きさが様々ですので、ひとつひとつ吊元の場所を考えてフックを付けています。
また電装設備が古くなっている場合がほとんどですので、新しく電装を配線します。近年は発光ダイオード(LED)を使ったお仏壇専用の電装を使用しています。電圧を低くしてあるので安全で、電線は細く目立ちにくい作りです。これを上方向に持ち上げて、電線が垂れ下がらないように設置するようにしています。お給仕がしやすいと思います。
職先、店内で準備を整えましてからお客様宅にご納入致します。お家の搬入経路は様々ですので、慎重に搬入します。お座敷のお仏間に水平レベルを調整しながら据え付けをします。
おせんたくのお仕事をいただいた時の流れを改めて記してみました。永年お家で大切にされてきたお仏壇をお修理させていただきますことは、私どもにとって喜びであり、身の引き締まる思いでお受けしています。せんばはまやで頼んでよかったと思っていただけるように、職人さん共々心をこめてお直しさせていただきます。